絵本を読むのは何のため?『絵本の記憶、子どもの気持ち』【読書メモ】

こんにちは♪大阪のイラストレーター、いぬいさえこ@Inui_Saekoです。

 

『絵本の記憶、子どもの気持ち』読みました!

 

こどもは絵本をどんな風に楽しんでいるの?

 

何度も同じ本をせがまれたり、大人にはピンとこない本に、はしゃいでいたり…。

 

こどもに絵本を読みながらも、ふと考えてしまうことありますよね。

 

大人はになると幼児と全く同じ目線で絵本を楽しむことはできません。

 

絵を描くイラストレーター目線、また、3歳の子供に本を読む親視点を交えつつ読んでみました。

 

『絵本の記憶、子どもの気持ち』はどんな本?

著者は、東京子ども図書館の職員を経て、大学で教鞭をとる絵本の講師

 

”子供と絵本の結びつきには、大人にはわからない謎がいくつもある”として、「こどもの頃好きだった本」をテーマに学生にレポートを書いてもらいます。

 

かつて子供だった大人の視点から、絵本をめぐる大人とこどものギャップを紐解いてく内容です。

 

特に心に響いた話はこちら。

絵本は教えるためのもの?

著者によると、若い人と話すと多くの人が「子供に絵本を読んでやるのは何かを教えるため」だと考えているとのこと。

 

「この絵本は子供に色を教えるのにいい」とか「読んだあとで主人公がどんな動物にであったか質問して、その鳴き声も言わせてみたい」といった意見がよく出てきます。

 

「字を教える」「数を教える」「内容をどのくらい理解してるか効いてみる」等あげればきりがありません。

 

でも、絵本は子供の知識や読解力を調べるための教科書でしょうか。(p72)

この言葉、ドキリとします。

 

私はイラストレーターで、描き手・作りて側としては「絵本はこども自身はワクワクしてなんぼ!」という考えはあったはず。

 

しかしいざ親になって、こどもに絵本を選んであげる時つい「○○を覚えるのに役に立ちそう!」という基準で手にとることが多かったのです…(^^;)

 

そしてなるほどー!と思ったのがこの話。

本物以上に本物

子供は絵本の世界に生きる

絵本「ぐりとぐら」に、巨大な卵を拾って、大きなカステラを作るシーンがあります。

 

著者は子どもたちに本の読み聞かせの活動をしてきました。

 

こども達にこの本を読んであげると、カステラの絵に鼻をつけて匂いを嗅いだり、こっそり舐めてみたりする事もあったそう。

 

大人はどんなに絵本の好きな人でも、「いしにぶつかって割れてしまうよ」というぐりのことばに「卵が割れたらどうしよう」と本気で心配したり、絵のカステラの匂いを嗅いだりしないでしょう【p44】

一方、大人は少し離れた所から絵本全体を眺め、絵の印象やテーマなど大きくつかんでいるとのこと。

”絵本の言葉”を子どもたちはそのまままっすぐに受け止めます。言葉の一つ一つが彼らを笑わせたり、ハラハラさせたりします。

 

絵本にかかれているものは、子どもたちにとって、本物以上に本物なのです【p44】

 

著者によると絵本の絵はただの絵ではなく、おはなしのせかいそのもの。

 

絵を描く味としては、胸に刺さる言葉です。

 

考えてみると、イラストの目的はコミュニケーション。感覚を伝えること。

 

イラストを見る人が、「ふんわり甘い」「お鍋が重い」「火がアツい」「いい匂い」…五感を揺さぶる体験をしてこそ、絵に意味が生まれてきます。

 

そういえば、我が家の子は、食べ物が登場する絵本がとても好き。

 

よく絵本のページの食べ物をつまんでは口にいれる仕草をしています。

 

「もぐもぐもぐ…あま~い!中にイチゴのジャムが入ってた~!」なんて言ってる時、息子の口の中にはリアルにイチゴの味が広がっているのかもしれません。

 

また、次のエピソードもおもしろいです。

こどもは絵本の世界で、くたびれるほど遊んでくる

子供は主人公のすることを全て一緒にやっているのでしょう。文庫(読み聞かせの会)で絵本を何度も読んでやったあと、子どもたちが「ああくたびれた!」「のどがかわいた」と言うのを聞いて、読んでいたのは私なのにどうして?と思うことがよくありました。

 

子どもたちは絵本の中で大活躍していたのですから、くたびれたりのどが渇いたりするのも当たり前だったのです。【p53】

読んだあと、子どもからそんな反応が返ってきたら読み手冥利につきますよね。

これはまさに「本の世界に没頭する」域を超えて、「実際に本の世界を体験」するレベル

 

大人の場合、サスペンス映画で震えたり汗を描くことはあっても、読書…それも絵本でそこまで感覚を得ることは難しい。

 

まだ感受性が豊かで、なんでも吸収できて、自由に自在に絵本の世界に入っていける。

 

こども時代ならではのとっても楽しい体験がそこにはあるのかもしれません。

 

またこちらの視点も印象的でした。

あこがれの世界で心を開放させる

こども達は自分にはできないこと、自分の周りにないものにあこがれを抱き、その中にそのあこがれを満たしてくれる世界を求めています。

 

それに応えててくれる絵本に出会うと、主人公と一緒に絵本の中を自由に動き回ったり、アレコレ想像したり、遊んだりしながら心をのびのびと開放させるのでしょう。

 

気に入った絵本を読み終わった時、「あーおもしろかった!」とため息をつく子どもたちの表情はいつも満足感でいっぱいです。【p69】

我が家の場合、読み終わって即「もう一回!」とアンコールが来ることがあります。

 

もう一度その世界を味わいたいほど、・美味しさ・色・香り…心踊る体験や冒険があったということなんですね。

 

忙しい母としては「また!?」と思うときも多々ありますが(^o^;)そんなに豊かな体験がページの中に隠れているなら…と、出来る限りは一緒に遊びにいこうとと思います。

 

まとめ:子供にとって絵本は知識ではなく、体験

この本で得た一番大きな収穫は、子供にとって絵本で得られるものは体験だということ。

子供は大人が望むとおりに絵本の趣旨を読み取ったり、書かれていることを覚えたりするとは限りません(中略)

 

本当に楽しめる絵本に出会った時、こどもは大人が思う以上のものをしっかり吸収して学んでいるのです。【p74】

数を覚える、挨拶やトイレができるようになる…躾や知育をテーマにした絵本はたくさんあります。

 

私も含めて、親が無意識に手に取りたくなる本は、こういった本がおおいかもしれません。

 

事実とても役に立ちますし、活用することを悪いことだとも全然思いません。

 

でも、教育や躾の役に立つか立たないか、親視点の目的を超えて、絵本はもっとすごい底力を実は持っているのかも、感じました。

 

知識は忘れても、体験は残る

ところで、子供の時どんな絵本が好きだったのか、覚えていますか?

 

子供時代の絵本のレポートというと大学生は皆「えっ!なんだろ!?いっぱい読んだ気はするのに覚えてない!」と反応したそう。

 

しかしレポート書く為に、学生たちは絵本との再開します。

 

そして色・フレーズ・表紙…小さなキッカケで、様々な事を一瞬で思い出す。

 

ワクワクしたこと、美味しそうと思ったこと、そして読んでくれた親の体温や声すらも思い出す…そんな温かいエピソードが多く紹介されています。

子供の頃の体験や、幼いなりに感じたこと、考えたことは、おとなになって忘れていたとしまっていても、実はみんなの心の中にただ眠っているだけだったようです【p23】

絵本の内容や詳細は、大人になったら忘れる人がほとんど。

 

私もそのほとんどを実際忘れてましたし、忘れてもいいんじゃないかと思います。

 

ワクワク・悲しみ・ドキドキ・嬉しさ・充足感…

 

あらすじを直接は思い出せなくても、絵本の中でたっぷり味わった、すべての感覚・体験は消えずに大人になっても根付いているのかもしれません。

 

絵本やアート、子供のために絵を描く方、子供に本を読んであげる方にも、心に響くお話が満載です。

 

是非読んでみて下さい♪

 

絵本の記憶、子どもの気持ち [ 山口雅子 ]

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